2009/04/27

恋愛カタログ

恋愛カタログ (1) (マーガレットコミックス (2375))

全34巻。長い!12年にも及ぶ連載という事で、1巻の表紙と34巻の表紙を見るとものすごい(というほどでもないけど)絵が変わってますね。当初3回の予定で掲載されたものが12年にも及ぶなんてすごいのひと言です。

そういった色々な事情の為、初期の設定である主人のマニュアル体質も初期の初期に忘れ去られ、タイトルとも全然マッチしない普通の学生恋愛ものになってしまいました。長らくやっていると主人公達の話だけでは発展しないのか、驚異的な脇役の充実により明らかに面白い所がシフトして行きます。

そういう意味では初期からいた隆司君と種ちゃんは素晴らしい強さと安定感を発揮していますね。反面ユウちゃんと山根君はよごれ役に近くいつの間にかミーハーで気の多いキャラとしてなんとか生き延びるという、なんとも残念感ただよう様な事に。

そんな中でも個人的に好きなのはやっぱり笹錦さんで、もはや完成されたキャラクターは主役を奪いかねないというか、中盤以降は笹錦さんにかなり支えられていたと思います。ササヤキさんと草野さんももうちょっと見たかったですけどね。7巻も放置されてしまって残念です。

基本的にはストーリー重視と言うより長期連載物定番のエピソード進行で、時間は進んでいるんだけど17歳から22歳の若い5年なのと、環境の変化が殆どない事、現実以上のスピードの遅さで殆ど時間の流れはあってない様な物なので、特に何も考えず読めます。

結末は伏線というには余りに急な展開で(これは、仕方ないし、前々からそういう結末にするつもりだったのだろうとは思います)良い意味でとても無難で安心して読める感じです。それでも33巻の島を下見に行って帰りのフェリーで見送られる所を想像する所とかすごく寂しさを訴える物がありました。

2009/04/23

アップルを創った怪物

アップルを創った怪物―もうひとりの創業者、ウォズニアック自伝

アップルはスティーブ・ジョブズとスティーブ・ウォズニアックが創業者として有名ですが、アップルを扱った本では主役はやはりジョブズで、ウォズは常識人で心優しく優秀なソフトウェアとハードウェアのエンジニアという扱いで済まされる事が多い。それでも十分すごさが伝わってくるのだけど、あまり人となりに触れた物が少ないので、この本を発見したときはこれだっと思った。

という訳で、読んでみたのはスティーブ・ウォズニアックのスティーブ・ウォズニアックによる自伝。客観的ではなく当事者の一人としてどんな切り口で読めるのかなーと期待したんだけど、正直物足りないものだった。自伝だからどの部分にどれだけ割いても良いのだろうけど、アップルに関する記述が非常に少ない。

印象としては、4割は学生時代の話で3割がコンピュータ作りの話で会社としてのアップルの話は1割でのこりの2割はその他という感じ。apple Iやapple IIを開発する所は面白かったし、学生時代の話も面白かったのだけど、肝心のアップルという会社やエピソードに関しては本当に触れていなくて、純粋に個人史としての自伝と言って良い出来だった。それにしても意図的に省略したようでもあったのだけど。

特に上場に至る部分なんかは触れてるか触れてないかぐらいの淡白さで、思い入れなんて全くなかったかの様です。ウォズを知りたければ読まなければ行けないのだろうけど、アップルを知るのには不要なのかなと思ったり。

2009/04/22

BASARA

BASARA (1) (小学館文庫)

文明が衰退した未来の日本を舞台にした恋愛戦記物少女マンガ。以後ネタバレあり。

別冊少女コミックに連載されていたもので、内容的にはいかにも少年マンガっぽいのだけど、たまに(というか頻繁に)出版社の都合でねじ込まれてしまったんじゃないかと疑ってしまうぐらいに少年誌向けだろうと思われるマンガが女性向けマンガに掲載されていたりするけど、そういう話とは一線を画したストーリーや人物描写、感情の機微をきちんと描いた上で戦記物でちゃんと少女マンガというなかなかすごい話です。

未来の日本という設定だけど、モデルとなった時代設定は戦国時代から安土桃山時代ぐらいで、単純にその時代ぐらいまで文明レベルが落ちたと考えてもらえば想像は大きく外れないと思う。主役格の朱理なんかは織田信長っぽいですね。あらすじは本当に粗く言うと、戦国時代の様な専制君主制の腐敗した日本で、運命の少年タタラ(といっても女性なんですが)。が国王を倒して世直しを計るといった筋です。

基本的にゲリラ戦ばかりなのに、チートとしか思えない様な強運につぐ強運で{{fn 'といったら身も蓋もないんだけど、だがそれがいい。各地を解放し、最終的には信長の野望・武将風雲録の上杉☆チート☆謙信ばりに単騎で敵の本丸に乗りこんで制圧するとか無茶苦茶な展開を見せる。もうその頃にはそんな事どうでもいいというか、それが当然ぐらいの勢いで実に豪快な話なんですね。あらゆる考証に対して超越したものが妙な説得力を持ってストーリーの中にあって、違和感ゼロ。本当にそれで(それだからかなー?)おもしろいんです。

この辺りが問題にならないのはやっぱりその辺はあくまで付録みたいなもので、感情的な部分の方が圧倒的に重要視されているからだと思う。特に死に対しては過剰なぐらい演出されていて、錵山や穂積や廉子に太郎ちゃんが死ぬところなんかはマジで泣く。個人的には蜻蛉(ふくろう)が死ぬ所(そのすぐ後に死ぬ揚羽とかどうでもいいぐらいものすごい健気に無駄死にするのです。悲しい。)とか、東北で新橋(蜻蛉の子。当然ふくろう)がはぐれる所もかなり悲しかった。逆に最後に死ぬ気満々の浅葱をタタラが斬らない所もヌルくて良いです。

最後はどうなんだと欲深く意外性を期待してしまう思う物の、あれしかないよねーという感じです。まぁ、いい感じですよ。

2009/04/18

敗者復活

敗者復活

2007年のM-1グランプリで敗者復活戦を勝ち抜いて決勝進出し、そのまま優勝したサンドウィッチマンの、M-1優勝までの回顧録みたいな内容。2人がそれぞれ同じエピソードをそれぞれの主観で書いて収録するという感じで、ひとコマづつは短くてテンポ良く読みやすい。といってもそれぞれが本当に思った事を書くというより、当然の様にある程度擦り合わせはされていて二人の記述は常に一致している。

高校時代の二人の出会いから2007年のM-1優勝までの20年近い時間を扱っている。といっても、高校時代も素人時代も芸人時代も内容自体は結構薄くって、わかったようなよくわからない様な感じなのだけど、後半の2007年のM-1が始まってからというのは敗退した人達に押し上げられていくようで、演出的で面白かった。

本の出版自体に記念碑的な印象があったのだけど、内容も優勝した事でどこか安泰ムードというかあがった様な記述が多い。最後に襟を正しているのだけど読んでいて恥ずかしくなる。しかし、悪い印象は全くなくて人が喜んでいるのを見るのは気持ちがよいと思える出来です。

何度かM-1がガチかそうではないかという話が出て来て、サンドウィッチマンが優勝した事でそうでない事が証明されたということになっているのだけど、そこを踏まえた筋というのもあると思う。個人的には組織的で明示的な筋なんてのは全くないと思うのだけど、関わっている個々人の思惑というのは無くす事は出来ないので何らかの判断というか有利不利というの普通にあるのだろうなと思う。

2009/04/09

いろんな気持ちが本当の気持ち

いろんな気持ちが本当の気持ち

長嶋有のエッセイ。といっても書き下ろしや連載ではなく、色々な所に書いたテキストを集めて一冊にした感じ。なので、いろんなニュアンスの話があって、特にテーマという物は無い。言うなればテーマが無い事がテーマといえる。タイトルと同じ『いろんな気持ちが本当の気持ち』を冠するテキストが含まれて入るのだけど、それを特別ピックアップしたというより、全体としていろんな話が入っているという所が意識されて採用されたタイトルではないかと思う。

エッセイと言えばどうしても誰が書くかに価値の大半を頼っている物が多いのだけど、この本は作家長嶋有としてだけでなく普通のテキストとして面白い。しかも、興味深いとか嗜好が凝らされているというレベルではなく、笑えるという意味で面白い。それこそ普通にブログとかだったとしても読みたいレベル。こういうとプロの物書きに対して失礼きわまりないのだけど、ネットに書いてたら読まれないようなエッセイが世の中には多いのも事実だと思う。

エッセイという事で読みたいと思う事が無く、最後の最後に読む事になったのだけどこれが結果として良くて、やはり作品に関するテキストも多かったので、それらをほぼ全て知っているという事が面白さをさらに引き上げてくれた様に思う。こんなエッセイならまた読みたい。

2009/04/05

ショーシャンクの空に

ショーシャンクの空に [DVD]

ここ数年ですが、見たい物や読みたいものをメモっているせいか、見たいと何年も前に思って見れずにいた映画や本を確実に消化できる様になって来ました。特別見なければいけないという事も無いですし、なんとなくビデオを見るという機会に遭遇しない昨今なので能動的に見るというのは良い事なのかな?よくわかりませんが。

これはまさに10年もので、10年なんてとんでもなく長い気がしますがあっという間だなというのを改めて感じます。これまでに幾人もの人に面白いよと言われて来て、そうらしいねと返して来た訳ですが、遂に見ました。

内容は無実の罪で刑務所に収監されてしまった人の話としか言いようが無いのですが、プリズンブレイクなんかと違って非常に無駄の無い話で(ドラマと比べちゃダメですが。)130分ぐらいあるんだけど見入ってしまいました。主人公が脱獄した後はカタルシスがあるし、人情的で確かに面白い。全面的に悲惨だけどね。

とはいえ特に感動やなんかとは無縁でハリウッドっぽいですね。見てる人は多いと思うので、基礎知識的に見るのも無理が無くて良いと思います。

2009/04/04

ラブ★コン

ラブ★コン (1) (マーガレットコミックス (3487))

デカ女の小泉リサと、チビ男の大谷敦がくっつくまでの話。実際にはくっつくまでが半分で、くっついてからが半分なんだけど、くっついた後は結構どうでもいい感じで、助長というかグダグダというか後半はあまり内容が無い。

こういうといかにもつまらなそうだけど、これはとても面白い。やっぱり面白さの大半は前半にあるんだけど、性差に寄る先入観とか価値観とか世間的な評価とかはなかなかリアルに描かれていて、小泉さんの苦悩は非常に可愛らしい。同時に気持ちが通じてしまえば身長差がなんの障害にもならない所も同じなんですね。

だからくっついちゃった後は初めから仲が良かった分、特にすれ違いも無いし、新たな発見も無いしでどこか長年連れ添った夫婦のようでさえあった。特に両者とも本当に誠実でナイスな設定なので本人同士から壊れる事も無いし、外部から問題を起こされても振り回されはする物の信頼感が強過ぎて話が膨らまなかったり。

後半が盛り上がらない理由はこの安定感に原因があると思う。全17巻なんだけど、とにかく10巻ぐらいまでは面白いので読んでみるといいと思う。そうすると惰性であと3巻ぐらいは読めるし、そこまでくれば完結するまでの残り3巻ぐらい読むかという気になるし、最終的には外伝的読み切り集の17巻も読みたくなるでしょう。で、連載終了後1年以上経過したdeluxマーガレットとかを買ってしまう訳です。

2009/04/03

エロマンガ島の三人

エロマンガ島の三人 長嶋有異色作品集

またまた、長嶋有です。これで後読んでないのはエッセイ1冊を残すのみとなってしいました。この本は長嶋有異色作品集というサブタイトルがついているのですが確かに異色というか異質です。エンターブレインから出ている事からも少し異質なのですが、コラム系の繋がりかなにかでしょうか。オトナファミなんて雑誌があるんですね、知らなかった。

全部で5話収録されているのだけど、表題の100Pを除くと、あと4篇は20P前後{{fn 'ページじゃなくて文字数やバイト数で表せたら分かりやすいのでしょうが。普通の文庫の20Pより全然少ないです。で超短編。だけどそれが良い。表題のエロマンガ島の三人は比較的異色な色は薄くて、期待通りというか予想通りな感じ。登場人物に関してはバカタール加藤とかある程度イメージが出来てる人{{fn '個人的にはものすごい常識人でモラリストな印象。知らんけど。がモデルっぽくなってると感情移入しにくいし、あんまり楽しめないなというのは素直に思った所。

その他の短編はこれまた素直に面白くて、パラレルのスピンオフや、エロマンガ島の三人本編からのスピンオフ、いかにもショートショーットっぽい話{{fn '村上春樹が書きそうな荒唐無稽な話とか。も2話あったりで、楽しめる。

実はパラレルは一番退屈な作品だと思っているし、エロマンガ島のスピンオフもスピンオフ自体助長な感じがして{{fn 'エロマンガ島のスピンオフも実際助長ではある。夕子ちゃんの近道の最後の書き下ろし見たいな言わぬが花系。特に淡白に締める作風からするとどうなのかという事で基本的に好きではないのだけど、そういった主観的な好みを含めてもこの本の話はどれも面白かった。

2009/04/02

ぐるなび―「No.1サイト」への道

ぐるなび―「No.1サイト」への道

ぐるなびと言えばリクルートや価格コム、広い意味では楽天等の様に、広告自体を実質的なコンテンツとして提供するという、かなり実績のあるビジネスモデルを採用していて、非常に私好みの仕組みを持った会社なのですが、パッとしないというか露出の少ない会社で内部の事は全然わからなかった所にぐるなびの起業もの本が出てると知って読みました。

ぐるなびのコンテンツやメディアとしての価値はともかくとして、正直あまり良く書けている文章ではなくて、自画自賛はやたらと饒舌なのに、ここ一番の勝負所では何故かお茶を濁す様な精神論になったり、時間をかけたら伝わったというような適当な記述に終始していて、これと言って書く事は無いのかな?という印象が強かったです。

端的に言うとこのモデルの会社の雄であるリクルート等もそうなんだけど、コミッション型インセンティブ制度を採用している営業一本の会社と言っても良い内容で、この部分は非常に説得力があります。でもあまり営業の会社とは思われたく無いのかな?もっと営業の会社である事に胸を張っても良いと思うのですが。

逆に胸を張って半ば自画自賛気味になっている報奨の仕組みや人事制度に企画の進め方に至るまで、ベンチャーという看板では到底片付けられない様なお粗末な内容で、とても働きたい!と思われる様な社風ではなく、冗談じゃなく本出して逆に会社のイメージ悪くなるんじゃないかと心配です。

たぶん単純に正直なんだと思いますが。ワンマンと言われるか、強烈なリーダシップと評されるかの紙一重みたいな所が全部ワンマン評価に転んじゃったみたいな。特にぐるなび出身の起業家とかほとんど聞かないのが残念というか、文化的な閉塞感があるのかなーとも思ってしまいますね。

何はともあれ、目の付けどころ、タイミング、ポジションと人や金やコネに留まらない企画力や環境を獲得していたというのは、大きな風が来たときに大きく帆を広げられる準備を整える、を実践していた好例じゃないかと思います。実際戦略的な部分はかなり優れているし、サービス自体もとても良いと思います。

前述の様な所がネックになってAmazonの評価はやたらと低いですし、起業物なのになんでかエキサイティングな所が全然なくて読んで楽しいとか熱中してしまう系の本ではないのですが、非常に読む価値のある本だと私は思いました。